煙突付ロケットオーブンを作る
2011年10月中旬〜11月下旬〜 作 タイマーズ土木作業員
さっぶい冬はそこまで来てる。
寒さ対策の準備をしなくては・・・・
ロケットオーブンを暖房にも使えれば一番いい
ダメモトで、煙突付のロケットオーブンにチャレンジしてみた。
ロケットストーブの上にオーブンを設置、横引き煙突を経由して、熱交換器を介して低温になった排ガスを煙突から安全に逃がそう・・・というもの!
1 設計図を書く
設計図らしきものはほぼこれだけ
こんなきたない図面で大丈夫だろうか?
図面を清書するのも億劫、とりあえずやってみよう!
1 材料ゲット
1) 0.5ミリ厚ブリキ板900×1300ミリ、一枚、900×1100 1枚
2) 0.5ミリ〜0.8ミリ厚ブリキ板の端材、適当枚数
※以上のブリキ板は近所の板金屋さんから快く!?無料ゲット
3) 900mm長105mmステン煙突 1本 900円
4) 3mm径程度の小型アルミリベット百個程度
5) 直径100mm×4m煙突 2本 700円×2=1400円
6) 直径150mm×4m煙突 2本 950円×2=1900円
7) グラスウール 2袋 500円
道具/金切りバサミ 1500円、30×30×1800ミリの鉄アングル(鉄板の曲げ用)600円、Cクランプ2ヶ 400円、かなづち、電気ドリル、3ミリ鉄用ドリル、6ミリ鉄用ドリル(バリ取り用)、その他色々
材料費は合計 5000円 程度
道具購入 2500円 程度
ハンドりべっターと耐熱パテの臨時出費 1800円
2 オーブン外枠の部材切り
金バサミで0.5ミリの鉄板をひたすら切り抜く
最初、サンダーの切断砥石で切ろうとしたが、真っ直ぐに切れない・・・断念
金切りバサミでひたすらシコシコ切り始めるが・・・・0.5ミリ厚の鉄板相手は大変だ
根気と体力勝負!!
3 部材を曲げる
0.5ミリ鉄板を手で曲げるには、アングルとCクランプで挟んでハンマーと木ブロックで叩くのがいいらしい。
曲げる順番を間違わないように一カ所ずつ曲げていく
手作業でも意外と精度は出てくれる
@ アングルで上下をはさみ、Cクランプで固定
A 木のブロックを板にあて、ハンマーで少しずつ叩く
B 直角に曲げられました
それぞれの部材を順番に曲げていく
下の板はふたの部分で曲げなし
以上でオーブン外枠の部材の用意は完了!
次はリベットでの固定
4 部材を組み立てるためのリベット穴をあける
部材と部材をCクランプで仮止めし、3.2ミリ、もしくは3ミリの電動ドリルで穴をあけていく(平リベットの直径は3ミリ)
ドリルで空けた穴にはバリが着いている
そのままリベットを打つと、板と板の間にバリが邪魔して、隙間ができてしまう
そこで、6ミリ程度の電動ドリルで一つ一つ丁寧にバリ取りする。
5 部材を組み立て、リベットで固定
3ミリ直径のアルミ平リベットを一ヶ所ずつ叩いて固定する
厚めの鉄板があればやすやすいが、ないので木の板にアングルをかぶせて、そこにリベットの頭を合わせて、打ちつけた。
6 排気煙突取り付け口の設置
105ミリ径の煙突の切り端があったので、それを差込み、写真のように固定したこの穴に煙突を差し込む。
7 中区切り板Bの切断と固定
中区切り板は排ガスの通り道。
外枠の補強も兼ねる
中区切り板Bは、0.5ミリ厚のブリキ板を使った
中区切り板Bを固定したところ
8 中区切り板Aの切断と設置
試しに、0.8ミリ厚のブリキ板で中区切り板Aを作ってみた
0.8ミリ鉄板は簡単には切れてくれない。数センチまでは切れるが、その奥にはハサミが進まない。
仕方がないので、アングルで両サイドをはさんで、頑丈な鉈を当て、大き目のハンマーで鉈を叩いて切断することにした。
切り口は汚いが、これなら切れることは切れる。
切り口はサンダーで磨いた
中区切り板AをCクランプで仮止めし、リベット穴をあけた状態
リベット穴のバリを取って、リベットで打ち付ける
休憩
下は某材木店から激安で入手した未乾燥杉丸太と乾燥磨き松材
9 中央部補強材の切断
中央部の補強のための部材を切断加工する
まずは中央下部の補強材
次に中央上部の補強材
下部補強材と上部補強材の間を縦方向に繋ぐ支柱材
10 中央部補強材の設置
中央部の補強材をリベットで固定する
@ 下部補強材の固定
A 上部補強材の固定
B 支柱材の固定
11 とびらガイドの切断、加工、設置
オーブンスライド扉のガイドレールを切断、折り曲げ
オーブンスライド扉のガイドレールをリベットで固定する
12 レンジ穴のヘリ折り曲げ
レンジ穴のへりを折り曲げる
ロケットストーブ側の穴のへりの折り曲げ
13 とびらの加工と設置
スライド扉の取っ手をつける
取っ手は、そこいらにあった角材を小刀で適当に削ったもの
ボルトとナットもありあわせのもの
とびらを設置
14 オーブン一応完成?・・・ロケットストーブと合体
以前作ったロケットストーブ
室内に運んでロケットストーブとオーブンを合体する
レンジの蓋はブリキ板
15 煙突の設置と試運転
火災防止を十分に配慮し消防法に準拠する煙突を室外まで設置して試運転
※レンジ穴の蓋の隙間から煙が出る・・・・已む無く蓋をリベットで固定することにした
16 レンジ穴を塞いで再挑戦
レンジ穴の蓋をリベットで固定して再試運転
※レンジの穴は直火で煮炊きするつもりだったが断念!!最初から穴を空けないで作った方が賢明だった・・・です
※配管の継ぎ目からの煙の漏れは、耐熱パテで埋めていく
※ブラインドリベットとハンドりべっター(1100円)と耐熱パテ(700円)の臨時出費
燃料の薪は3種類・・・・@竹を細めに切ったもの、A太い木を短めに切って鉈で細く割ったもの、B直径数センチ以内の生木に近い枝・・・・
点火方法
@の竹とAの鉈で割った木を入れバーナーで点火する。
次にBの枝を継ぎ足していく
横引き煙突は外部へ・・・・高さ約4mの垂直煙突につなぐ
17 ロケットストーブと煙突と引き込みについて
ロケットストーブの上にオーブンを設置、1m横引きした先に一斗缶3つを繋げた熱交換器。この先は断熱し床下へ配管を伸ばし、さらに床下を手作り二重煙突で2.5m横引きした先に、5mの二重煙突を立ち上げたもの。
煙の引きは、ロケットストーブのヒートライザー(二次燃焼筒)による押し出す圧力と、煙突の引き込む力の合計。
横引きと下向きの配管を多様しているので、ロケットストーブだけ押し出し圧力だけでは、ちょっとしたことで煙が篭り勝ちになる。室内での煙の発生は致命傷となる。
煙突を付けることにより、空気の引き込みは十分となる。「ゴーゴー」と音を立てロケットストーブ本来の勢いが甦る。
床下へ抜ける場所での排ガスの温度は40〜60度C。床下以降の煙突でさらに温度が下がると吸い込みの力は低下する。十分な引き込みのために二重煙突とした。
二重煙突と言っても、温度が70度C以上になることはないので、耐熱温度200度Cの直径100mmと150mmの4m長アルミのフレキシブルダクトを二重に重ね、その間に耐熱性のグラスウールを充填して、手作り二重煙突とした。
ロケットストーブの場合、煙突排気温度60度C以下といっても、日本には消防法の既定があるので、消防法をクリアーするべく、可燃物と煙突の距離については、「煙突は、建築物の部分である木材その他の可燃材料から15センチメートル離して設けること」。煙突の高さは「建築物の軒から60cm.以上高くすること」。床下については、「金属製又は石綿製煙突で小屋裏、天井裏、床裏等にある部分は、金属以外の不燃材料で覆うこと」などは最低限クリアーしておいた方がいいと思います。(今回は二重煙突にした上、前記の条件をクリアーさせた)
上・・・たまに燃えた薪がパチパチとはじけて飛ぶので、金属ザルをかぶせている
上・・・熱交換器で熱を回収した後の排気温度は56.2度C、最高でも60度C、熱交換器上の室温が23.0度C
下・・・この時の外気温は6.6度C、室温は15,4度C
18 冬の朝の点火について
冬の朝の点火については注意を要する。
煙突、配管、熱交換器部分の全体が0度C近くの低温になっているため、着火直後の煙突内の排気温度は煙突、配管、熱交換器部分で吸収され、煙突内の排気温度がほとんど上がらない状態になる。
すなわち、本来期待していた煙突の上昇気流による引き込みがほとんど発揮されない。つまり、火を燃やした直後は引き込み力が弱く、煙が逆流、停滞しがちとなり、煙が燃焼口から出てきてしまう。
そこで対策としては、<朝寒い時の二度点火方法>が有効となる。
1) 燃焼部分の奥まで灰をかき出す
2) 灰かき出し口から、杉の葉などの燃え易いものを一握り入れて奥の方だけに入れる
3) 灰かき出し口から、奥の方の杉の葉の上に細い竹を10〜20本程度横にして載せる・・・(ぎゅうぎゅうに詰め込まない程度で十分な竹の量があるといい。あまりぎゅうぎゅう詰めだと空気が通りにくくなり、酸欠になって燃えにくくなるので、そのあたりは適当に・・・)
4) ≪一度目の点火≫
その状態(いつも燃料を放り込む縦の筒やその下辺りには、燃料が見えないようになっている必要がある)で灰かき出し口から点火用ガスバーナーを全開にして奥の方の燃料に火をつける・・・この状態では灰かき出し口の蓋はしないこと
5) 奥の燃料が燃え尽きない内に、竹や杉の葉などの燃え易い燃料を、灰かき出し口から奥の方に追加してやる
6) しばらく様子を見て「ゴーゴー」と調子よく吸い込んでいく様子を確認する・・・配管と煙突が十分に温まってきて十分吸い込んでくれるようになるまでしばらく奥の方だけで燃焼させる
7) ≪ニ度目の点火≫
「ゴーゴー」と十分吸い込むようになったら、いつもの縦の筒の上から通常燃やす燃料と竹を少し混ぜて縦に入れて、再度灰かき出し口からガスバーナーで手前の燃料の下の部分に炎を当てて、燃料をさらに燃やす
8) ガスバーナーで二度目の点火をした後は、灰かき出し口の蓋は閉める
9) 調子のいい時のように、「ゴーゴー」と音を立てて吸い込んでくれれば、成功!
※ 当面は上記の点火でも良かった。・・・・が、年明け頃からか、点火が難しくなった。どうしても煙が室内に逆流してしまう。吸い込みが悪いのだ。原因がどうも分らなかった。考えられるのは、@外気温が低いため、煙突、煙道、室内の熱交換器、等々の部材が低温になっており、なかなか煙突温度上昇につながらない。A点火時の薪が水分が多く燃えにくい。等が考えられるが、それにしてもどうも変だった。後で考えてみると、その頃から、一次燃焼室の奥あたりのステンレス版が極度に変形して燃焼室が狭くなり、まともな燃焼ができていなかったようだ。結局2月中旬には燃焼室が破壊してしまった。分解してみてみると燃焼室は原型を保っていない。ぐにゃぐにゃに変形している。これでは、薪や炭や灰が少し溜まれば、空気はまともに通らない。つまりまともな燃焼は不可能なはずだ。
空気を強制的に吸い込むために、制排気ファンをつけたが、これはこれで大きな効果があったが、同時に燃焼室も改善を余儀なくされた。
19 粗木酢液
木を燃焼させれば、木酢液が出るらしい。熱交換器などで温度を回収すれば、さらに大量の木酢液が発生するという。
そこで熱交換器にたまる木酢液を回収する必要が生じる。当初煙突が完成する前の状態で、熱交換器の底に穴をあけずに何日か使っていたが、木酢液のことが心配になって、底に穴を空けたとたんに、大量の木酢液が出てきて処置に困惑した。(2リットルペットボトルに約半分の木酢液を回収した)その当時は不完全燃焼の状態が続き、炭状態の燃えカスが大量に出ていた。
その後その穴にパイプを通してビンに木酢液をためるようにしているが、煙突を立てたてからは完全燃焼しているため、木酢液はほとんどでることはなくなってしまった。
上の写真は、半日ロケットオーブンを使用した後にかき出した灰の量。完全燃焼していることが分る。このような燃焼の場合は、木酢液はほとんど出ていない。
※ 粗木酢液の量について(2012年4月25日追記)・・・・・粗木酢液がどうして出るか?・・・・・基本的には熱交換器や煙突、煙道を排気ガスが通過する際にガス温度が低下し、ガス中に含まれる水分が凝結して水滴になるのだろうが、次のような要因で粗木酢液の出具合は変化するようだ。
@ 不完全燃焼すると確かに大量の液が出る。その場合の木酢液の濃度が高いように感じる。不完全燃焼による燃焼成分中の不純物が大量に入っていると考えられる。何しろ不完全燃焼させた場合はきわめて多量の木酢液が出るので要注意!
A 薪の乾燥が十分でない場合、かなりの液が出る。ロケットストーブが完全燃焼していても、それなりに粗木酢液が出る。不完全燃焼時とは雲泥の差はあるにしても、その時に燃やした薪の乾燥度が低い場合は排ガス中には多くの水蒸気が含まれているだろうし、炭素化合物が酸化すれば、水と二酸化炭素に分解されるので、水蒸気は必ず含まれる。
B 当然、熱交換器の下、縦煙突の下あたりは、常に多少なりとも液が出ている。常時粗木酢液を回収する細いパイプを外部に出して定期的に液を回収している。
※ 燃えカス(灰)の量について(2012年4月25日追記) ・・・・・ロケットストーブで薪を燃やした灰の量は、様々な要因で変化するようだ。
@ 完全燃焼する程度に応じて灰の量は少なくなる。
A 特に燃焼室を粘土にし、ある程度粘土が乾燥した後は、燃焼室が高温に保たれるためと思うが、灰の量はきわめて少なくなる。一回でペール缶一缶分以上の薪を数時間かけて燃やしパンを連続で焼くのだが、灰はオチョコ一杯分程度しか残らないのだ。燃焼室が高温になっており、炭は全く残らない。灰も粉々で、数回くらいだったら灰をかき出す必要がないくらいだ。しかし習慣で毎回灰をかき出そうとするが、ほとんど灰らしき灰が残っていないので、いつも頭の中には???が残される。
B 粘土製燃焼室であっても、短時間の燃焼では十分に燃焼室温度が上昇していないために、炭は残っている。ある程度の燃焼時間後(20〜30分)からは炭や灰がなくなってくる。
C 以前の煙突を利用したロケットストーブの場合は、燃焼室を断熱するしないによって、炭や灰の量は違ってくる。断熱をする程度に応じて燃焼状態も良く、灰も残りにくい。しかし、粘土製の燃焼室に比べると、灰の量はかなり多い。
20 オーブン内部を作る
いよいよ、ロケットオーブンの内部を作り始める
@ 材料はやはり無料でもらってきた0.5mm厚のブリキ板を切断して折り曲げる
A リベットで固定しながら組み立てる
21 オーブン内部に設置する
@ オーブンの外枠の内側にオーブン本体を取り付けるための金具をセットする
A 二次燃焼の高温のガスが直接オーブンに当たらないように、ブリキ板一枚をガスの出口の上に設置した
B オーブンの蓋作り
22 オーブン内部の完成
オーブン完成!
内部には底に一枚の30cm角のタイルを置き、中段にもタイルを置けるようにしている
タイルは遠赤外線を出すため
23 試し焼き
@ ジャガイモホイル焼き
試しに庭でとれたチビジャガイモをホイルに巻いて焼いて見る
ジャガイモを入れてから火をつけてしばらくするとオーブンの蓋の温度が200度Cになった。
A ブドウ、クルミパンを焼く
まず余熱で一次醗酵
パンチ後、オーブンに入れて、二次醗酵を兼ねてパンを焼く
火が少し強すぎたのか・・・・20分で表面が黒くなった
B ミミカがクッキーを焼く
C ブドウ、クランベリーパンを焼く
ミミカが焼いてくれたクッキー(左)を食べながら、クランベリーパンの生地を作り醗酵
8つに分けてオーブンで20分焼いた
総括
1) 外部煙突は十分な高さを確保した方がいい/外部の煙突なしでもロケットオーブンの場合は、横引き下向きの熱交換器から直接外部に排気することは可能。しかし、ロケットストーブの吸引力が弱くなり、燃焼口から煙が逆流する場合がある/室内への煙の逆流は致命傷となる。山小屋ならまだしも、通常の生活空間ではちょっと無理。
2) ロケットストーブ、オーブン、配管つなぎ部分の隙間をなくす/隙間から室内への煙漏れ防止/ロケットストーブはヒートライザー(二次燃焼筒)による圧力で煙を排出させるので、隙間があると煙はどんどん押し出されてくる。(十分な高さの煙突を設置した場合は、煙突の吸引力がプラスされ、煙の逆流と隙間からの煙の押し出しはなくなる)
3) 最初からレンジ穴は開けないのが賢明!オーブンも密閉式にする!
4) 燃焼テストしながら、煙が漏れる隙間をみつけては、高熱用パテなどで隙間を埋めていく。
5) 不完全燃焼した場合には、木酢液が配管の中で作られるので、液がたまる場所に細い管を埋め込み、液を外部に出す工夫をする。しかし、完全燃焼の状態では木酢液は全く出ない。
6) 日本の場合消防法にストーブの煙突の設置基準が決められているので配慮しておく。
2011-12-19
ロケットオーブンでご飯を作るIソノ1
|