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  土 壌 団 粒 化 と 作 物 栽 培 の ポ イ ン ト


                               2011/03/21 版
ご注意) 現状で私が理解し得た作物栽培に関するポイントを以下にまとめてみました。こちらの理解と解釈が間違っていたり、不完全であることも十分考えられます。お気づきの点はご指摘いただければありがたいです。できるだけ勉強しながら、実地検証しながら、より正しい情報の集積につとめたいと思っています。
「炭素循環農法」を提唱されている「炭素循環農法/百姓モドキの有機農法講座」の著者林幸美さん、「ワラ一本の革命」の著者福岡正信翁、赤目自然農塾の川口由一さん、「奇蹟のりんご」の著者木村秋則さん・・・・その他様々な貴重な情報をネット、本で提供くださった方々に心から感謝申し上げます。

(目次)
1)生態系の循環
2)作物が生育する原理
3)土壌を団粒化させる原理
4)団粒化するかしないかの分岐点は炭素率40
5)窒素飢餓が起こる理由
6)団粒化した土の働き
7)緑肥、草、作物、そして根
8)堆肥の分解はバクテリア/自然の分解は糸状菌が主役
9)菌(キノコ菌、かび類)と細菌(バクテリア)の関係
10)耕作深度/炭素資材を混ぜる深さ
11)マメ科の緑肥作物には要注意
12)イネ科の緑肥作物は土中の硝酸態窒素を吸収し深く土を耕す
13)竹粉の緑肥効果
14)耕作と廃菌床、炭素資材の投入について
15)廃菌床を畑に投入するタイミング
16)連作について
17)土壌のペーハー(PH)について
18)まとめ


1)生態系の循環
・ 植物・・・無機物から有機物を作る
・ 動物・・・植物(有機物)を食べて生きる
・ 菌類・細菌類・・・動植物を分解して無機物にする

2)作物が生育する原理
・ 土壌を如何に深くまで団粒化させるかが全てのポイント
・ 深く団粒化した土壌では作物が一番育つ環境となる。
・ 団粒化した土壌には作物の栄養分を生成するバクテリアが生育する最適な環境と、酸素が土壌深くまで行き渡り、下の土壌水分と栄養素を吸収する作物の根を張ることができる。
・ 団粒化した土壌の中には嫌気性バクテリアが団粒化した成分を餌として、窒素固定等作物に必須の成分を提供する。それによって団粒化していた土壌は解体される。

3)土壌を団粒化させる原理
・ 団粒化させるのは、炭素資材のセルロースやリグニン等の難分解性物質を、菌類が分解する時に生成する物質によって土が団子状にくっ付きあうことをいう。セルロースやリグニンは通常分解しにくいが、キノコ菌、糸状菌、枯草菌(こそうきん)や納豆菌等によって分解されるという。
・ キノコ菌、糸状菌は炭素資材の周囲に回り囲み、時間をかけて炭素資材全体を分解していく。
・ 枯草菌(こそうきん)や放線菌(納豆菌等)は、夏に土ごと発酵をやって、ネバネバの分解酵素を出し、畑の土を団粒化させる。枯草菌(こそうきん)や納豆菌は、タンパク・脂肪・炭水化物、何でも分解する。特にセルロースみたいな硬いものを分解できる。
・ 難分解性の高炭素有機物による土壌改良効果は、糸状菌(キノコ菌)の有機物分解に伴う大量の分解物、分泌物が糊の役目をし、大粒な団粒を作るため
・ 団粒化を継続させるためには、継続的に土壌に炭素資材を投入させる必要がある。

4)団粒化するかしないかの分岐点は炭素率40
・ 炭素率(C/N比)が40以上の炭素資材の場合は糸状菌が働くので、バランスの良い発酵分解が起こり土が団粒化する。
・ 炭素率(C/N比)が40以下の炭素資材の場合は窒素分が多いため、糸状菌が働きにくくなり、腐敗分解を起こすバクテリアが主に支配する。そのため炭素資材は腐敗臭を伴いながら急速に腐敗分解を起こす。腐敗分解が起こると土は団粒化せず、逆に固くなる。(炭素資材を糸状菌がガードしてしまえば、バクテリアによる急激な分解は起こりません。C/N比40を境に、以下ならバクテリア(細菌類)、以上なら糸状菌(菌類)が主に働きます。)
・ 木材の成分は「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」からなっている。特に難分解性の芳香族ポリマーであるリグニンを高度に分解出来る唯一の微生物は白色腐朽菌(シイタケ、カワラタケ、ヒラタケ等)のキノコのみである。
・ 白色不朽菌・・・シイタケ、カワラタケ、ヒラタケ等/ 広葉樹を好み、リグニン、セルロース、ヘミセルロースを分解して白色(セルロースの色)になる。
・ 褐色不朽菌・・・サルノコシカケ、ナミダダケ等/針葉樹を好み、セルロース、ヘミセルロースを分解して褐色(リグニンの色)になる
・ 軟不朽菌・・・子のう菌、不完全菌/木材含水率100%以上の木を好み、ヘミセルロースを分解して黒くなり、柔らかくなる
・ 培地に添加する窒素(N)源量がリグニン分解に大きく作用し、N源量が多いと、成長はいいものの、リグニン分解が抑制される。・・・炭素率40以上でリグニン分解が起こり易い。
・ 白色腐朽菌の生産するリグニン分解酵素がリグニンを分解するために特別な構造をもっており、窒素が少ないときに酵素の生産が活発になることがわかってきた。(http://www.forest.rd.pref.gifu.jp/rd/shigen/05042gr.html)

5)窒素飢餓が起こる理由
・ 低C/N比で窒素飢餓が起きる・・・堆肥は堆積初期でC/N比30、使用時で15〜25程度です。そのため、土壌のC/N比12と同じになるまで、細菌類による急速な分解が行われ、大量の窒素を一度に必要とし、不足分を土壌中から奪います。これが窒素飢餓。つまり、一般的な常識とは反対に高C/N比なら窒素飢餓が起きず、低C/N比で窒素飢餓が起きます。
・ 窒素飢餓を起こさないためには、炭素率40以上の高炭素資材を土に投入する必要がある。・・・高炭素資材の場合はバクテリアが働く前に、糸状菌が資材に回りこみ、バクテリアをガードしながら、時間をかけて分解していくので、急激な分解とならず、窒素飢餓は起こらない。

6)団粒化した土の働き
・ 団粒化した土壌には作物の栄養分を生成するバクテリアが生育する最適な環境と、酸素が土壌深くまで行き渡り、下の土壌水分と栄養素を吸収する作物の根を張ることができる。
・ 団粒化した土には、バクテリアの餌となる成分が豊富に含まれているので、それを餌としてバクテリアが繁殖し、作物の根と共存しながら、空気中の窒素を固定したり、他の有用成分を作物に対して提供する。
・ その工程で団粒化した土は解体されていく。→再度団粒化させるためには、糸状菌、キノコ菌、枯草菌、放線菌、納豆菌等を活躍させる環境を作るため、定期的に(2〜4ヶ月毎位)炭素資材を土に提供する必要がある。

7)緑肥、草、作物、そして根
・ 草や緑肥(炭素率50程度)を畑に鋤き込むことにより、糸状菌の餌となり土が団粒化する。より深い土壌に対しては、作物や緑肥を栽培することによる根の生育によって、炭素資材の供給となり、団粒化を促す。
・ 窒素の吸い上げが強く根が深くまで張る・・・トウモロコシ、えん麦等のイネ科植物。

8)堆肥の分解はバクテリア/自然の分解は糸状菌が主役
・ 堆肥化は主にバクテリアによる分解(糸状菌は酸欠と熱に弱く発酵熱で殆ど死滅)。既にバクテリアが占有している堆肥を圃場に入れても、キノコ菌は食べ残しに甘んじなければならず、糸状菌がガードできない半端なC/N比(30以下)のため、窒素飢餓を起こします。
・ 自然の分解は糸状菌が主役・・・糸状菌は酸欠と熱に弱い。炭素循環を円滑にするためには慣行農法と違い、働く微生物の順序が逆(自然と同じ)でなければなりません。高炭素資材を容易に分解できる菌類があくまでも主役。

9)菌(キノコ菌、かび類)と細菌(バクテリア)の関係
・ 菌類と細菌類は全く別の生き物。分子系統学的にみて、細菌類は、人とキノコ(菌類)、植物などの関係よりかけ離れている。
・ 菌は餌の量に比例して増える。細菌類(バクテリア、腐敗型)は常に一定量で、特殊な条件で増える。(細菌が増えるのは、肥料、堆肥、畜糞等の低炭素比の腐敗し易い物を入れた時や、土壌微生物が溺死等で大量に死んだ時。比較的窒素が多くなった時に増える)
・ 菌類の祖先は動物と共通と言われ、その多くは酸素呼吸。一般圃場(畑)で糸状菌(菌類)が大量に死ぬのは酸欠死だけです。高等動物は、空気なしでは数分しか生きられません。水を断っても2〜3週、餌の場合なら1ヶ月前後は生きられます。下等な菌類でも長雨などで、空気が遮断されれば一日が限度。優先度は高等動物と同じ。1空気、2水、3餌の順です。
・ 常に菌類の餌が十分量あれば、圧倒的多数派の菌類がその場を支配。少数派の細菌類に支配権がありません。

10)耕作深度/炭素資材を混ぜる深さ
・ 団粒化が進めばそれに合わせ、有機物を次第に深く入れても構いません。目安は初年度10cm、2年目から5cmずつ深くし、最終的には通常の機械で可能な、25cm程度まで有機物を混ぜます(順調に土壌改良が進んだ場合)。但し、キノコ廃菌床は最初から大量に酸素を消費するため常に浅く混ぜます。
・ 団粒化し、通気性の良くなった耕土層は、全体の条件がほぼ均一で、混ぜたからといって、微生物相を撹乱する心配などありません。深く入れれば更にその下の、直接耕せない心土を、より早く団粒化することが出来ます。尤も、表層部が団粒化してくれば、深く混ぜても進行具合に大差ありませんから、腐敗が心配なら常に浅く混ぜておきます。

11)マメ科の緑肥作物には要注意
・ 緑肥として一般的に最も知られているのは、エンバク、ライ麦、トウモロコシ等のイネ科作物と、レンゲソウ、クローバー、大豆等のマメ科作物だ。マメ科作物は根粒菌が空気中から窒素固定して硝酸態窒素を生成するため、土を肥やすという理由で一般的には歓迎されている。しかし、土中に余分な窒素分(硝酸態窒素)が含まれる場合は、作物内の硝酸態窒素濃度が高くなり、腐敗要因となり人間の体にはよくない。土には余分な硝酸態窒素を残さないことが大切であって、糸状菌と微生物群の餌となる炭素資材を大量に投入することが大切となる。その意味で一般的には歓迎されているマメ科の作物を緑肥として植えることは避けるべきである。
・ 又、同様の意味でマメ科の作物を連作することは、土中に硝酸態窒素をさらに増やすことになるため、避けるべきである。マメ科の作物を収穫した後は、土中の硝酸態窒素を消費させるために、イネ科の作物を植えると有効となる。

12)イネ科の緑肥作物は土中の硝酸態窒素を吸収し深く土を耕す
・ イネ科の緑肥には、エンバク、ライ麦、トウモロコシ等が使われる。その他、アワ、ヒエ、キビ等様々ある。
・ イネ科の作物の特徴は、1) 根が深いため深くまで土を耕すことができる。2) 土中の肥料を吸収し、多量の二酸化炭素を固定する。(土中に窒素がなくても、又微生物群が豊かでない土地でも、イネ科植物は大気中から窒素を固定する体内内生菌を持ち、痩せ地でも生育可能)3) 緑肥として土中に鋤き込む場合に、炭素比率(C/N比)が90程度で腐敗菌(細菌)による分解がしにくい。すなわち、腐敗菌による急激な分解をさけることができ、糸状菌によるゆっくりとした分解が進み易い。

13)竹粉の緑肥効果
・ 竹はイネ科の植物であって、西日本では大量に入手可能。竹そのままでは分解は極めてゆっくりとしか進まないが、竹チップ、さらには竹粉にし得た場合には、有効な糸状菌、微生物の餌となる。
・ 竹林には糸状菌が自然繁殖し、「ハンペン」と呼ばれる糸状菌の塊(コロニー)が存在し、竹が糸状菌の繁殖に有効であることを示唆している。
・ 一方竹の繁殖力は驚異的であって、竹粉の成分にも竹の驚異的な生長を促す成分が存在するのではないかと考えられる。
・ イネ科である竹を竹チップ、もしくは竹粉として加工たものが簡単且つ安価で入手可能であれば、土中に緑肥として混入することは極めて有効であると考えられる。

14)耕作と廃菌床、炭素資材の投入について
・ 基本的には畑を耕す必要はないと考えられる。理由は土中の微生物層を混乱させ、微生物を死滅させる可能性が高いためである。一般的に浅い表面に近い土には、糸状菌、キノコ、こうじ菌等の好気性の微生物が活動する。比較的深い土中には謙気性の微生物が働いている。
・ 畑にする最初の段階で、土中に腐敗層や硬盤層がある場合には、腐敗層に空気を入れて好気性菌によって分解させたり、硬盤層破砕させるために耕作し天地返しするとよい。しかし、最初の一回だけでよい。
・ 微生物は餌がないと死滅するので、微生物の餌を与えるために表面に近い10cm〜5cm程度の深さを耕して、炭素資材を鋤き込むことは必要である。
・ 糸状菌の餌は炭素資材です。糸状菌を繁殖させるには餌である炭素資材を定期的に投入してやる必要がある。炭素資材の土中への投入は2〜3ヶ月毎に炭素資材を投入してやると良い。
・ 土中に投入するものの中で最善のものが廃菌床である。廃菌床には糸状菌に覆われた大量の炭素資材があるので、それを土中に鋤き込むのがベスト。廃菌床が十分ある場合は、他に土に投入する必要はない。

15)廃菌床を畑に投入するタイミング
・ 廃菌床がある場合には、種蒔き、苗植えする直前に土中に鋤き込む。
・ 作物を作っている間に廃菌床を投入する場合は、可能であれば根に影響しない程度土中に軽く鋤き込む。不可能なら表面にまく。

16)連作について
・ 慣行農法では作物の連作は悪影響を及ぼすと考えられている。しかし炭素循環農法の場合は土中の微生物を最大限に活性化させるため、連作はかえってよい影響を及ぼす。理由は、その作物に最も適した微生物バランスが出来上がり、その土がその作物を栽培するに相応しい環境となっているためと考えられる。
・ しかし例外としてマメ科の作物の栽培環境では根粒菌によって、窒素固定が進むため窒素過多となるため、イネ科等の窒素成分を多量に吸収する作物との輪作が好ましい。

17)土壌のペーハー(PH)について
・ 肥を効かせるために石灰施用して土をアルカリにする事が一般的に有効と言われている。しかし、糸状菌、キノコは弱酸性の環境に適しているので、石灰を土に投入する必要はない。
・ 基本的に如何に糸状菌を活性化させるか、ということを中心に土の環境を考える。

18)まとめ
・ 作物を育てるための必要な養分は全てバクテリアが提供している。→有機肥料も科学肥料も不必要。逆に肥料類は土中の硝酸態窒素を増やし、不健康な作物を作る原因となる。
・ 従って、土中のバクテリア層を増やせばよい。→土の団粒化
・ そのためには、糸状菌(キノコ)が繁殖する環境にする。→山の土の同様の環境
・ 糸状菌を増やすためには、唯一炭素資材を土中に定期的に大量に投入する。
・ 炭素資材を土中に投入す方法として、1) 廃菌床の投入 2) C/N比40以上の炭素資材の投入 3) 作物をどんどん育て地中に根を這わせて炭素資材とする 4) 緑肥、雑草等を鋤き込む 


主参考
炭素循環農法/百姓モドキの有機農法講座
http://freett.com/tenuki/etc/home.html
その他 色々

よもぎ発酵
天恵緑汁の作り方4月編
天恵緑汁ヨモギ+スギナ
菜園作業/天恵緑汁の与え方(噴霧編)
ヨモギの天恵緑汁でびっくり野菜

タンポポ根とヨモギ葉の発酵液

酵母菌 (http://hobab.fc2web.com/sub3-Agriculture.htm より)

酵母菌・・・
・植物に有用な高カロリーのアミノ酸(プロリンなど)を生成
・酸素が存在する好気的な環境では活発に細胞増殖(好気性の環境(酸素が多い条件)では、1時間半で2倍に増殖)
・酸素が少ない嫌気的な環境ではアルコール発酵
・アルカリ性の環境は苦手(pH6.0〜6.5の中性環境を好むが、弱酸性〜酸性でも生きる)
・低温の環境には強い
・高温の環境には弱く、40℃以上では、死滅率>増殖率
・快適な水分条件は60%程度
・ 酵母菌体内では、アミノ酸、ビタミン、核酸、エステルなども生む
・嫌気的な環境では、ペプチドやサイトカイニン様物質を産生し、食物の成長を促進
・酵母菌は、先住している有害菌を追い払えないが、酵母菌が先住すると、有害菌が住み着けなくなる

無肥料栽培 (http://hobab.fc2web.com/sub3-Agriculture.htm より)

・ 有機肥料は、分解程度が浅いと、土壌病原菌(フザリウム、ピシウム、ネコブセンチュウなど)が増殖し、未熟ガスが発生し、作物の根を障害する
・チッソ肥料が多いと、農作物中の硝酸塩(硝酸チッソ)が多くなり、人体への悪影響(チアノーゼ現象、ニトロサミン生成など)が生じる
・無肥料栽培だと、植物は、葉で光合成で生じた物質を、根(表皮細胞)から、高分子有機物(ムシゲル)として、土壌中へ放出している。この高分子有機物(ムシゲル)は、C/N比(炭素/窒素比)が高い(炭素を多く含んでいる)ので、チッソ固定菌や菌根菌などの活動を促進する。チッソ固定菌や菌根菌は、外界(土壌中や空気中)からチッソやリン酸を固定し(集め)、根から吸収させることで、植物に栄養(窒素やリン酸を含む肥料)を供給する。
・植物の根からは、かなりの量の細胞が脱落する。脱落した細胞や、枯死した残根は、C/N比(炭素/窒素比)が低く(窒素を多く含んでいる)、蛋白質分解微生物を活性化させる。蛋白質分解微生物は、多量のアンモニアを生成し、根から吸収させることで、植物に栄養(窒素肥料)を供給する。
・肥料を施すと、土壌中のチッソ固定菌や菌根菌、蛋白質分解微生物が活動せず、肥料を施さないと植物は栄養を得られなくなる
・無肥料栽培に変更した場合、土壌中に蓄えられていた肥料が消費され、土壌中のチッソ固定菌などが増殖出来るようになるまでの期間、作物の生長が滞ったり、収穫が減少する
・人間の場合も、食事から蛋白質(窒素)を多く摂ると、窒素を固定する腸内細菌(Klebsiella aerogenes)が減るが、生菜食のような低蛋白食を摂取していると、体が順応し、窒素を固定する腸内細菌が増加し、低蛋白血症にならないと考えれる

 無肥料栽培でも、長期間、肥料を施して栽培した場合と同等の収穫量が得られるのは、「エネルギー」により「元素転換」が起こるからだと考える人もいる。

不耕起栽培:土地は表面から良くする (http://hobab.fc2web.com/sub3-Agriculture.htm より)

・ 作物の株元(土地の表面)に施した有機物(枯葉、藁など)が好気性菌によって分解され、土地の表層に張った根から吸収され、また、地中の水分が土地の下層に張った根から吸収される(土地の表層は乾燥していた方が好気性菌の増殖に良い)
・ 植物(作物)の根は、土の表面に存在して栄養分(肥料分)を吸収する細い根と、土の深くに這って行って土中の水分を吸収する太い根とが存在する。
・ 吸肥根は、表層10〜15cm以内下に存在する毛細根であり、アミノ酸や肥料を吸収する。吸肥根のような毛細根は、ゴロ土や土塊との間に隙間があり、通気性、保水性、排水性、保肥性がバランス良くある土地で増加する。吸肥根の下(バラ苗では表層から30〜40cm下に存在する)には、生育根があり、シュート(根元から伸びる枝)を出す。吸水根は、真っ直ぐに下の方向に伸び、土地表面の乾燥時に、地下から水を吸い上げる
・ 作物の周囲の土の表面に、枯葉などを敷いてやると、土の表面に存在する好気性菌によって分解され、栄養分が土に染み込んで、作物の細い根から吸収される
・根を深く張らせるには、土地を深く耕すことより、土地を、肥料を吸収する根が多い土地の上層部を過湿にせず、かつ、下層部に水分が蓄積しているようにする
・耕起栽培で肥料(特に化学肥料)が土の全層に存在すると、土壌溶液の濃度が高まり、根が、地中の水分を吸収し難くなると言われる
・ 土の表層には、酸素を必要とする糸状菌(カビ)や放線菌が存在し、枯れた植物などに含まれる炭水化物などを分解する。酵母菌は、土中に存在し、酸素があっても、酸素がなくても生息出来る
・植物の根が、土中に深く伸びると、根から周囲の土に酸素や栄養が供給され、酸素を必要とする菌も、共生可能となる
・土を深く耕すと、地中深くに浸透蓄積した水が上昇し難くなり、土の表層の有用な好気性菌も、減少してしまう。その結果、土の表層での栄養分の供給が減少したり、有害菌の増殖が起こり易くなる
・ 土地の表層は、酸素が十分に存在するが乾燥し易い
・土地の表層には、酸素を好む微生物(好気性菌)が多く存在し、表層の有機物(枯葉など)を分解し、土に栄養分(肥料分)を供給する。殆どの(有用な)微生物は、酸素が多い土地表層に、生息している
・ 不耕起栽培で地表近くに施す肥料としては、炭、枯葉、腐葉土、藁、前作物の茎や葉(残渣)、雑草などが良い
・有機肥料(有機質肥料)には、炭水化物が含まれていて、微生物(有用な好気性菌)がエサとして利用して増殖し易い。有機肥料であっても、施し過ぎると、チッソ過剰になり、軟弱徒長して病害虫被害が生じたり、作物の味が悪くなる
・透明マルチは、地温を上昇させるのに用いられる。
・黒マルチは、地温はあまり上げ過ぎずに雑草を防除する。黒マルチだと、夏場は、直射光線により、(地温が)60℃以上に上昇し、作物の茎葉がマルチに当たって焼けて枯れてしまうおそれがある。 夏場は、土温度が上昇し過ぎないように、藁などで覆ってやると良い
・トマトは、黒マルチで土の表面を覆ってやった方が、株の成長が盛んで、背丈が大きく伸びや葉が大きくなり、実も大きいのが沢山なる(黒マルチで覆ってやらないと、株は貧弱になるが、小さな実が早くつく)
・ 苗(トマト、ナスなど)は、早い時期(地温が低い寒い時期に)に移植すると、株の体力が低下し、地温が上がった時期になっても、成長が却って遅れてしまう(何事にも適当な時期があって、移植の時期は、早過ぎても、遅過ぎても良くない)
・ポリマルチ(ビニール・ポリフィルムのマルチ)を用いた場合、雨水が浸透せず、地表面に塩分(化学肥料など)が上昇して集積し、作物の根や、微生物に障害を及ぼす。ビニール・ポリフィルムのマルチを用いた場合、空気が流入しないので、土地の表面の地温が高温に成り易く、繁殖する微生物が偏る(有用な好気性菌が減少する)
・ポリマルチは、地温を上昇させるのに有用だが、土地の表層に水分や肥料分が多くなり、根は浅く張る
・紙マルチより、ポリマルチの方が地温を上げる効果が強い。しかし、紙マルチだと、地表面近くが乾燥しても、下層の土には水分が存在するので、根は深く張る。
・ 炭マルチ(炭を株元に盛り上げる)は有用。 炭は、保水性も通気性も良く、多孔質で有害なガスを吸収するので、微生物の格好の住処になる。炭は、昼間は太陽熱を吸収し、夜間は遠赤外線を放射するので、炭マルチには、株元の地温を上昇させる効果がある。
・ 茎や葉を、生のまま土地にすき込むと、嫌気性菌が増殖し、腐敗が起こり、臭い匂いがする。乾燥させて土地にすき込むと、好気性菌(カビ)が増殖し、発酵が起こり、良い匂いがする。
・枯葉などが、ワラジムシなどによって分解された土地は、土の臭いが、良い匂いがする。
・ 不耕起栽培にすると、生える雑草が、年々減って来る。
・雑草の種子は、寿命が長いことが多く、土地の表層2〜3cm以内に存在すると発芽するが、耕運で土地の深層に埋没すると発芽せず、数年後、耕運した際に、土地の表層に移動され、発芽することもある。耕運しなくなると、土地の深層の種子は、土地の表層に移動されなくなるので、発芽しないので、生えた雑草を除草していれば、雑草は減って来る。
・ 不耕起栽培では、畝(ウネ)を作ると良い。畝は、造り直さず、古いまま使った方が、水が地下から上がって来易い。新しく作った畝は、地下から水が上がってくるようになるまで、2週間程経てから、苗を植えた方が良い。
・畝幅は120cm程度(植え床幅90cm+通路30cm)が良い。
・植え床の高さは、一般的には7〜8cmが良い:排水が悪い畑で乾燥を好む野菜を栽培する場合は高畝(10〜20cm)にし、排水の良い畑で乾燥を嫌う野菜を栽培する場合は低畝(4〜5cm)が良い。
・畝を作ることにより、土地に酸素や太陽熱が吸収され易くなり(地温が高くなる)、また、排水性が良くなる。
・寒い時期は、黒マルチで畝を覆った方が、地温が高くなり、苗の生長が良くなる。寒い時期は、平地で、肥料の袋などで苗を囲ってやっても、苗の生長は悪い。夏場は、黒マルチで覆った畝は、地温が高温(35℃以上)になり、また、雨水が入らず、新しい畝で地下から水が上がって来ないと、生長が悪くなることがある。黒マルチで覆って地温が高過ぎるような場合、敷き藁をしてやる必要がある。
・キュウリなどは、苗の株元に、くず炭や、くん炭を敷いて、土を覆ってやる。くず炭やくん炭で土を覆って置くと、潅水しても土の表面が固くならない。くず炭やくん炭により、地温が低い時には地温が高まり、地温が高い時には、地温上昇が防がれる。
・トマトは水分を押さえ(水はけを良くする)て育て、ナスやキュウリは水分を撒いて(乾燥を防ぐ)育てる。
・キュウリの方が、トマトやナスやピーマンより、寒くても育つ。
・ジャガイモの方が、サツマイモより、寒さに強い。ジャガイモの根は、土の浅い層を水平方向に広がるので、土寄せや盛り土をする必要がある。
・ トマトやサツマイモは、乾燥した土地を好み、ナスやキュウリやネギやエダマメは乾燥した土地を嫌う。
・サツマイモは、ポリマルチを使用すると、美味しい芋にならない。サツマイモは、ポリマルチを使用せず、赤土の痩せ、不耕起を続けた畑で栽培すると、美味しい芋になる。「サツマイモは寒地で作れ、複地(何年も繰り返し耕作している畑:熟畑)で作るな」。サツマイモは乾燥した土地を好むので、畝を高く作る(高畝の方が地温も上昇する)。サツマイモの畝間は60〜90cmにし、蔓を伸び伸び伸ばし、光を十分に吸収させた方が美味しい芋になる。収穫した芋は、収穫後2週間程度、直射日光に当てて干すと、甘味が増す。
・ホウレンソウは、複地でないと、美味しいホウレンソウが作れない。「ダイコンは寒地で、ホウレンソウは複地で作れ」。
・ ジャガイモは、チッソ肥料が多過ぎたり、家畜糞や堆肥が多いと、水に浮き、水っぽくて、美味しくない。ジャガイモは、水に沈む芋の方が、美味しい。
         http://hobab.fc2web.com/sub3-Agriculture.htm  より

 




 
   
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