1 

  自 然 農 試 行 錯 誤

我が家に引っ越して、早6年が過ぎた。
庭を耕しては野菜作りに毎年挑戦している。
野菜作りをどうすればいいのか、悪戦苦闘の試行錯誤の毎年だった。

庭を掘り返せばいたるとこから石、瓦、コンクリ、等の瓦礫が出てきた。
瓦礫を取り除くまではいいが、作物は簡単には育たない。
人様にお見せするには恥ずかしすぎるようなちっちゃな大根、トウモロコシ、トマト、ニガウリ・・・・
ほとんど実のならない作物、挙句の果ては、幹自体の生育もおぼつかない。

貧弱なトウモロコシ。味はいいけど・・・


スイカなどはせいぜいこんなもんだ・・・漬物にはつかえるか!?

季節外れのスイカの亡霊!

化学肥料や農薬は良くないらしいと聞いていたので、有機肥料を作ろうと頑張ってみても有機肥料らしきものはできない。下の写真は2009年の秋、腐葉土を作ろうとしたが・・・・途中挫折


2009年10月、シードボールを作ってみたが、これもうまくいかず・・・途中挫折!







苗が二種類置いてあれば、安い苗を買ってきて植えてはみるが、さっぱり育たない。
安い苗のせいにしたくもなる。



上の写真は2010年夏の我が家の庭の様子。 畑のつもりの場所は草ぼうぼうだ。

ほっておけばジャングル状態! 仕方なく剪定した枝葉の量も半端じゃない!これらをどう処理していいのか考えるだけでも疲れてくる。
6年間勉強不足のまま試行錯誤した自然農?の結果が・・・こういう状態だ!
・・・・しかし後から考えると・・・・この草ぼうぼうがかえって土には良かったのだと思う。


裏庭は特に何も植えていなかった。ただ、春になると竹がにょきにょき生えてくる。いたるところに竹の地下茎がはびこっているに違いない。

そんなこんなで6年が過ぎた。
野菜作りはホトホト疲れ果てた2010年の秋。
とりあえず遅くはなったが、買ってあったソラマメ、エンドウ、ニンジン、小カブ、大根の種を畝を作って蒔いた。半分は諦めていたが・・・・。
玉ねぎの苗も買って植えつけてみた。

そして始めて鶏糞なるものが安い値段で売っていたので一袋購入。
さらに近くの無人精米所で糠をただでもらって、鶏糞と糠を鋤きこんでみた。
その直後ネットで知ったのが「炭素循環農法」だった。
略して「たんじゅん(炭循)農法」というらしい。

ブラジルでこの農法を完成させ、ウェブサイトで詳細に情報提供されている方のサイトを見てビックリした。
化学肥料も有機肥料も不要であり、返って害となることが懇切丁寧に解説されていた。
さっき入れたばかりの鶏糞が不要なのは勿論、糠も多すぎたようだ。
後の祭りだが、鋤きこんでしまっては仕方がない。

「炭素循環農法」を読む内に作物が生育する仕組みとポイントが始めてはっきりとしてきた。
今まで漠然と土の肥料を作物が吸収して育つ程度に考えていたのだが、はっきりとした理屈を少しも知っていなかったことが分った。

炭素窒素比の重要性、窒素飢餓が起こるわけ、窒素固定のバクテリアの働き、バクテリアの餌を提供するキノコや糸状菌の働き、炭素資材を最も効率的に分解するキノコや糸状菌、それらの働きの結果として土壌の団粒化が促進され、空気と水が行き渡ること、窒素過多で育てた作物の硝酸態窒素の問題、硝酸態窒素濃度の高い作物を虫が好み腐敗分解を起こすこと、自然の仕組みとして炭素資材さえあれば窒素等の肥料は不要であること・・・・

「これなら理屈が通る!」
「理路整然としている!」
粘土団子の福岡正信翁、赤目自然農塾の川口由一さん、奇蹟のりんごの木村秋則さん、数々の自然農法の先達の指し示していることと共通もしている。
「炭素循環農法」の特徴は、作物生育の原理が明快に解説されていることだろう。
そして その原理に基づく具体的な農法を体験的に示されているので、理解し易い点だ。

7年目にして始めて作物が育つ原理の一端に触れ得たと感じた。
作物が生育する基本的な原理を知って、2010年の暮、我が家なりの自然農が見えてきた。


 
   
 1 




 

 

虹色アーチトップページへ