み み か へ の 忠 告
キレイ好きな父、道端に落ちているゴミは必ず拾う。ボウボウで見苦しかったり人の通行を邪魔しているような草木は、根こそぎ抜く。
自分のことはさておき、杖を付いてヨロヨロ歩いているお年寄りや、勢いづいて転びそうな走り方をしている小さな子供など、父の目に映るやいなや、そのお年寄りを支えてあげようと近寄ったり、躓きかけて転びそうになった子供を守ろうと、慌ててダッシュで駆け寄ったり、世のため人のための正義感と奉仕心満載な父である。(でも、自分がヨロヨロだったり、躓いて転びそうだったりするんだけどねえ〜)
そんな父ではあるが、現在進行形の『脱ぎ捨て』の段階を追うほどに、一人では何も出来ない子供の様相を呈している。『みみか』という子育て体験をさせてもらっていればこそ気が付く、日々の生活の中での、『ああ、子供と一緒だなあ〜』と感じずにはいられない、父にまつわる現象と出来事。
◎一人でのお出かけやお買物はもちろん、一人きりでのお留守番も父には出来ない。
【子供と一緒】で、目的地までの道のりの理解はもちろんお金の計算が出来ないし、留守中は家の中を触り放題!やり放題!そんなキケンなことさせられなーい!
◎肉体的・身体的能力の低下でもって、子供レベルの運動能力をいろんな場面で垣間見る。
【子供と一緒】で、ラジオ体操などのジャンプする運動の時、本人は飛んでいるつもりらしいが、全く足が地面から離れずに『ジャンプ!ジャンプ!』している。上りのエスカレーターにはタイミングよく乗れるが、下りのエスカレーターはタイミングがなかなか合わないらしい。
◎「お父さん、あれして次これして、その次それで・・・」と、順にこなしていくはずの事柄を、父は上手くこなすことが出来ない。
【子供と一緒】で、同時に二つ以上のことが出来ず、一つ一つをゆっくりと集中してやらないと混乱する。特に、流れの早い内容や早口での会話は父にとって理解不能。そのため、慌てさせられるプレッシャーとイライラとで怒り出す。
◎機嫌のあまり麗しくない時のこと、たまたま父とぶつかると「アッ! イタタタッー!」といかにも痛そうに振舞う・・・ちょっとかすった程度なのに。これも機嫌のあまり麗しくない時のこと、父が読んでいる本の片隅に母の手が重なって置いてあり、父は『ページがめくれない!』『何するねん!』と強気の態度・・・よーくご覧下さいませ!母の手は宙を浮いていて本には引っかかっておりません。
【子供と一緒】で、大袈裟!機嫌の悪い時などは、とにかく子供のように大袈裟に振舞い、相手の注目を集めて自分をアピールする。
◎着替え中、服の脱着の手順で母とバトル展開となり、父に対して叱りつける(怒る)母に怒りモードで応戦するも、着替えの手順がやっぱりわからず困る。
【子供と一緒】で、そういう時は別の人のところへ行って『Help me!』。「これ、これ」としおらしく私に近づき、分からない手順を確認しにやって来る。
◎食事の際の嗜好の変化とお行儀
【子供と一緒】で、わさびやカラシなど辛いものはダメになり、みんなで一緒にの『イタダキマス!』が待てなくて、配膳が揃う前に、自分の目の前にある食事を手掴みしてでも食べようとする。たしなめられ手を引っ込めるも、またすぐに手を伸ばしてしまう・・・。現在、理性よりも本能やや優勢!?
◎うたた寝している父がふと目覚め、部屋の中に誰もいないと分かると、慌てて台所やトイレへ誰かを探しにやって来る。
【子供と一緒】で、一人ぼっちになると心細くなり不安になるらしい。
◎夕刻の散歩中、日暮れが深まり辺りが薄暗くなってくると、父は辺りをキョロキョロ見渡し足早に家路を急ぐ。
【子供と一緒】で、『夜へと変化する暗闇』が怖いらしい。暗闇への不安から、母と繋いでいる父の手にはギュッと力が入るそうである。(赤信号でもお構いなしの父、安全のために母は、父と手を繋いで歩いている)しかし、変化し終えた後の『真夜中の暗さ』は怖くないらしく、逆に夜更かし気分のワクワクモードで散歩に出かけられる。
このような父の【子供と一緒】シリーズはまだまだたくさんあり、そして日々千変万化である。しかし、ある日の夕暮れ時のこと、まだ遊び足らず外に出て行きたそうな様子のみみかに言った、父の一言に私たち一同は驚いた。それは、「(もう暗いから)公園・・遊びに行ったら・・・アカンで」との『言葉』。
普段のほとんどは、突発的で単発的な『言葉』しか発せなくなっている父である。しかし、カワイイ孫≠ンみかの前では立派な大人であり祖父である。そんな自覚が、父の口からちゃんとした文章でのまともな『言葉』を発せさせるのだろうか?祖父としてカワイイ孫≠ンみかに、大切な忠告をする父がそこにおりました。
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