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  B 氏 の 助 言


この日の朝の出来事を、私はB氏に話した。
人類の業的な苦しみを突如として感じ号泣してしまったこと。
(人類の業的な苦しみを私が受け取ることで)みんなが幸せな楽しい気持ちになれるなら、それが私の役目ならば受け取らせて欲しいと、神様に訴えたこと。
『ある程度の苦しみや悲しみ』の荷物を背負った、G氏と少女Aが登場した一連のビジョンのこと。
そして、G氏が実際持っているというサンタクロースの人形のこと。

話を聞き終えたB氏は私にこう言った。
「神様に訴えた受け取りの役目、そのまま僕に渡したらいいよ」と。
その意味は、B氏曰く『天の神様に放り投げるから、僕に渡して(話して)くれたら大丈夫』とのこと。
私にとって、この言葉はなんだかとても嬉しかったし有難かった。
私が感じることを肯定してもらえている安心感と、自分以外の人とそういった内容を共有できている心強さがあったからだ。

そしてB氏はもう一つ、私にこう言った。
「G氏と少女Aのこと、あなたが祈ってあげたらいいね」と。
B氏曰く『あなたは祈る力が強そうだから、愛念で祈ってあげるといいね』とのこと。
祈る力の強さがどれ程どうなのかは分からないが、実際これまでも祈ることしか私には出来なかったし、この時この場所でやるべきこと自体“祈ること”と思っていた矢先のことだった。

鼻っぱしが強く人の思惑には乗らない私の性格から、普通ならこのようなB氏の勧めなど『フン!』てな態度のところだ。
しかし、以前にもあったが、B氏の助言に対しては何故だか素直に受け入れてしまう私がいた。
もちろん、B氏のことが好きだということが、少なからず潜在的にでも関係しているかも知れないが、心の中の摩擦感や抵抗感がほとんどなく、B氏の言葉がスッと奥底に流れ入ってしまう、そんな感じだった。
B氏との関係においてしか生じ得ない反応・・・、私にとってそれは『人の言うことを素直にきくということ』だった。

でも確かに、誰に対してもどんなことに対しても、私に出来ることがあるとすれば、愛を持ってただ祈ることだけだと思えていた。
だから、荷物のビジョンを見た次の日の朝から、私はいつもの祈りに加えて、G氏と少女Aのことを意識的に祈ろうと自然と思えた。

その日の朝、G氏と少女Aのことを祈っていると、戦争で亡くなった人たちをお祀りしている祈りの場で、いつぞや感じた構図のことが浮かんできた。
その中で感じた、男女特有のそれぞれのもの・・・。
二人のあんなにも大きな重い荷物は、もしかしたらそれらを象徴しているのではないだろうか?
そんな風にふと私は思った。



 
   
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