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  見 え な い 仕 組 み


私の、この一連の硬直を一番理解してくれたのがB氏だった。
そこからくる深い意味を、彼はちゃんと理解してくれているようだった。
そして、そんな彼の前で私の硬直は頻繁に起こった。

それは、彼の中の何かを引き出そうとするかのようでもあり、私自身の気付きを得るためのようでもあり、どちらの要素とも混在しているように感じられた。
また、彼の前で硬直し、得ることの出来た私の気付きは、彼と共有するためのもののようでもあった。
『彼自身の奥深くに眠る人間臭い部分。そういった部分を濾過すべき必要がある』
いつからか、私の中でそんな風な思いが浮かんで来ていた。

そして、共有するものが増えるほど、微妙な距離を保っていた二人の間の距離はどんどん近くなっていった。
彼の前での硬直は、他の人の前で起こるそれとは違い、何かしら特別な要素が感じられた。
私と彼を引き寄せようとする、目には見えない仕組まれた何か・・・。

確かに、彼の前で頻繁に起こる硬直によって、二人は片時も離れられないようになっていた。
硬直から私の体を自由に解き放つことが出来るのは、もはや彼しかいなかったからだ。
だが、二人の距離が縮まるのと反比例するように、私の心の中の葛藤は拡大していった。
自分の意志ではない硬直だと、自分の中では確信済みだったのにも関わらず、彼の前であまりにも頻繁に起こる硬直に、私は疑いの念を持った。
彼を好きだという心が、彼と一緒にいたいという心が、そうさせているのではないだろうか?・・・と。

そうは思って心は葛藤しても、固められた私の体を自分の意志で自由にすることは、やはり不可能だった。
見えない仕組みは、私たち二人をどうしようと言うのだろうか?


 
   
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