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  繋 が る 世 界


この一件から、私にはもっと自分自身を見つめる必要があるということ、そして霊的な何かと相まって、私は何かを祈る必要があるのではないか、そんな風に感じた。
この場所に残る必要性を見つけてしまった私は、(宗教嫌い故に)あれほど嫌がっていたにもかかわらず、自らの意志でもう少しここに残ることを決めた。
アルバイトの仕事は終わろうとしていたが、別の形で留まることが出来た。

さらにこの一件は、私に霊界という世界をより身近なものに感じさせた。
妹であるIちゃんの存在を感じることが出来たお陰で、私がこの世界に存在し生きているように、Tちゃんも霊界という世界に於いて、同じように『存在し生きている』のだと感じるようになった。
しかも、その世界は全く個々別々なものではなく、何かしら密接に繋がっているのだと、私は思うようになっていた。

そう思うと同時に、私の祈りが変わり始めた。
それまでの私は、自分が今存在すると信じている目に見える世界、その世界の囲いの中だけで一生懸命祈っていた。
けれど、それではその囲いの中だけを、祈りはぐるぐる駆け巡るだけだった。
しかし、Iちゃんがいる目には見えない世界と、自分の目に見える世界は一繋がりで繋がっている、そう信じるようになると、私の祈りはその囲いを超えて大きく広がり響いていった。
自分の祈りが、これまでの狭い囲いある世界から、スーッと無限に解き放たれて行くのを、私は何とも言えない感覚で感じた。
その感覚は、私の魂を喜びでいっぱいに満たした。

ある日、世界間は繋がっている・・・それを証明するかのような出来事が起きた。
私はその日、私の妹Iちゃんと夫の兄弟にあたる流産児(水子)を供養する行事に参加していた。
その行事が始まるやすぐ、Iちゃんの名前がマイクを通して読み上げられた。
そして、最後のほうで夫の兄弟にあたる御霊の名前が、やはりマイクを通し読み上げられた。
読み上げるたくさんの人たちの中で、マイクを使う者はたった一人だけ。
マイクを使わない人たちの声は、どんな名前を読み上げているのか全く聞こえなかった。
読み上げるべき御霊の数からしても、マイクを使った者に読んでもらえることにしても、これは滅多には起こらない偶然だった。

しかし、その偶然に私は驚かなかった。
何故なら、私の思いの正しさを立証するため、そしてそんな私の背中を押すために、その偶然は起きたのだと私は確信したからだ。
行事が始まる直前、私は目には見えないIちゃんと夫の兄弟にあたる子の三人で散歩を楽しんでいた。
両隣にIちゃんと夫の兄弟がいるかのごとく「今日はいいお天気だね」そんな風に声をかけながら、実際に私は自分の両腕を伸ばし、右に幼いIちゃん左に夫の兄弟それぞれの手をしっかり握り並んで歩いた。
それはどこにでもあるようなごく自然な光景・・・ただ目には見えないだけで。
Iちゃんと夫の兄弟と手をつなぐ私の心は、とても暖かでとても穏やかで、そしてとても幸せだった。

はたから見ると些細な偶然かも知れないが、私にとってこの出来事は、あらゆる世界とそこに存在する魂たちを益々肯定するきっかけとなった。
そして、それらの世界は自分たちの世界と繋がっているのだと、私はいっそう深く理解するようになった。
もしかしたらIちゃんや夫の兄弟にあたる魂は、私をこんな風に導いてくれる尊い使命の持ち主だったのかも知れない。
どこの世界にいても、みんなそれぞれ自分の使命を果たしつつ、ちゃんと存在しているのだと私は思った。


 
   
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