16 

 

  選 ば れ た 者


実は【使命】の他に、私の中で湧き起こってくる別の意識があった。
それは、【私は選ばれた者である】という意識だった。

もともと、真理はどこにでも転がっている。
流行歌の中や道端に咲く草花の中にも、何気ない誰かの一言や、もちろん毎日の暮らしの一瞬の出来事にだって・・・、そういった感覚を持ち合わせていた私だった。
だから、そこでの生活を続けるうち、物事の本質や奥底を見る力、真理を見出す力を、私はより高めて行った。
そして、真理と矛盾したように見えるそこでの出来事を見るにつけ、私は自分が先を進み奥を行く存在なのだと感じるようになった。

しかし、『どうして私なのか?』という思いは強く、【使命】という感覚や【選ばれた者】という意識に対して、大それた自意識過剰で傲慢な心の現われなのではないかと自分を疑い、心落ち着かない不安を持ち始めていた。
だが、そういった私の背中を押すように、私が感じていることは決して間違ってはいないと思わせるような、衝撃の出来事が私に起こった。



 
   
 16 




 

 

虹色アーチトップページへ