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  使 命


しかも、私を更に悶々とさせる何とも言えない感覚があった。
その場所で、わずかながら旋風を巻き起こした私は、自分の大きな【使命】のようなものを感じるようになる。
『私はこの場所と何か深い縁で繋がっているような気がする』、そう漠然と感じたあの思いと相まって、私は落ち着かない気持ちになった。

確かにそう、私はずっと問うていた。
『私は何のために生きているのか?』『私のこの世の使命は一体何なのか?』『そんなものが本当にあるのか?』・・・と。
でもその頃の私は、自分が神に属する者であり、また神自身であるだなんて、信じることが出来ずにいた。
だから、神と離れた状態に自分の身を置き、『私なんて・・・』『そんな大それた【使命】なんて・・・』と、自分の内で湧き起こるそういった思いや感覚に必死に抵抗していた。

それに、湧き起こって来る自分の思いに対して、実際のところ私自身が一笑に付していた。
『他人が私のこの思いを覗き見たならば、きっと正気の沙汰では無いと思うことだろう』・・・と。

自分の目の前で展開される真理に矛盾した人々の行為や、自分の内に湧き起こる何とも言えない思いや感覚など、頭の中が混乱しどうしようもなくなって、私は夫に電話をかけ相談した。
すると、夫は「君はそこへ何をしに行ってるの?人は関係ない、自分がどう生きるかだけだろ!」と言い放った。
電話を切った後、私は静かに夫の言った言葉の意味を考えていた。

そうだ!確かにそうだ!人は関係ない!!
私は他人や外のことばかりに目をやって、自分が生きられないことを周りのせいにしている。
要は、そんな中で自分自身をどう生きるかだけなのに!
【使命】?
そんなもの私には分からない。
気が付いたらこれが使命だった、それでいいじゃん!
結局は、自分がどう生きるかということ!!



 
   
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