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  本 当 の 居 場 所


私はだんだんと、今の自分の本当の居場所は、やはりあそこではないかと思い始めた。
しかし、私の宗教嫌いが拒否反応を示し、その思いに必死に抵抗した。
浮かんでは掻き消す自分の思いを、私は騙し騙し毎日を過ごしていた。
が、日を追う毎に、私の落ち着かない気持ちは度を増していき、居ても立ってもいられなくなってしまった。
あの場所を訪ねたことで、最悪の鬱状態は抜け出せたものの、今ひとつ先に進めない大きな壁があるように感じた。

『ダメだ!ここ(自宅・実家)には、居られない!』
どうしてなのか分からないけれど、『行きたくないのに行かなきゃいけない!』そんな風に私の心は感じていた。
絶え間なく押し寄せるそういった思いと、どこにいてもしっくり来ない居心地の悪さに、私はとうとう根負けした。
私は自分の思いに従うことにし、もう一度あの場所へ行く決心をした。

しかし、アルバイトの件はすでに断ってしまっている。
今更行ったって、もう誰か決まっているかも知れない・・。
そう思いながら、『でも・・・、もし本当に私があそこへ行かなきゃいけないのなら、アルバイトの件は私のために必ず用意されているはず!』そんな風にも思えた。
それに、不思議と『まだ決まってない』という感覚が私の中にはあった。

意を決し、再びそこを訪れた私は、例のアルバイトの件を尋ねてみた。
すると、案の定まだ誰も決まっていなかった。
「旦那様は本当にいいのですか?」と念押しされながら、 夫から承諾を受けていた私は「やらせて下さい!」と、自ら強くお願いをしていた。
かくして、私の居場所は決まったのだった。




 
   
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